2018-01-01から1年間の記事一覧

レーダー照射事件にみるアメリカの存在意義

韓国の駆逐艦がレーダーを自衛隊の哨戒機に照射したとされる事件が連日報道されている。防衛省はレーダーの照射があったと主張し韓国はなかったと否定しているので水掛け論だ。哨戒機が記録したとされる火器管制レーダーの周波数を提示しなければレーダー照…

杉田論文と天皇制

出産の生産性が日本で一番問われるのは皇太子妃の雅子さんだろう。待機児童の問題や非正規雇用の生涯未婚があるにも関わらず、子供を産むことに生産性があると杉田が主張できるのは子供を産むこと一般に価値があるからではなく、特定の人間の「優秀」な遺伝…

言論の自由の商業的な基盤

10月に新潮45が廃刊になった。自民党議員杉田水脈の「LGBT支援の度が過ぎる」という論文が理由とされたが、単に新潮45が売れなくなっただけだろう。一出版社の一雑誌が廃刊になった程度で衰退する「言論の自由」とは商業ジャーナリズムの偽装に過…

「山の人生」柳田国男

古来より民衆は山人と共にありこの2つの世界〈顕冥両界〉を繋ぐものが一つの餡餅であった。各地で信仰される草履型の道祖神、足跡に伴う伝説ダイラボッチ、山丈・山姥との交流等は良くその内を見てみれば山人と定住民が近接した世界で生きるために、お互い…

増税に見る国家の破綻

2019年度予算案によれば過去最高の税収だという。62.5兆円だから18年59.1兆円よりも3.4兆円税収が増えた。みずほ総研の試算では8%から10%の引き上げで5.4兆円増なので他で2.4兆円減税されている点は注意しなければならない。富…

いじめの先にあるもの

いじめ被害者・加害者という言葉に違和感がある。この問題の矛盾はいじめられる側の大半にいじめる側の経験がある事だ。たとえば全体の9割がいじめられた経験がある一方で9割は誰かを虐めた経験がある。最低でも8割程度はいじめられると同時に誰かをいじ…

北朝鮮漁船の「違法」操業は日本政府の国際法違反

海上保安庁の巡視船が北朝鮮の漁船と接触し破損したとの報道がある。日本の排他的経済水域内での出来事と言う事で排外主義にとっては格好のニュースだが、そもそも排他的経済水域とは「主権的権利」であり日本の主権ではない。主権的権利は海洋資源を保存・…

「享楽社会論」松本卓也

今の社会はフロイト的な無意識(超自我・エス)の欲望がなく麻薬依存のような享楽しかないという。この現状認識から著者はポスト基礎付けであるとか、特異=単独の普遍化等が必要と述べるが単に別の父の名が回帰しているようにしか見えない。キルケゴールの例…

「情況とはなにか」吉本隆明

著者によれば家・家族は対幻想であるが、対であるという理由で共同幻想のように地上を離れることができないという。庶民が町内会の面々にさかんな見送りを受けて兵士となるために家を出ていくときの元気で御奉公してまいりますという紋切型の挨拶に著者は家…

寡婦控除を認めない家族観

税制改正大綱見直しに向けた自公の調整が進んでいるという報道。自動車税については一定の合意が出来たようだが公明党が求める寡婦控除の導入は自民党が反発している。反対理由として「婚姻にもとづく家族観が損なわれる」からだという。母子世帯の過半数が…

「戦後思想の荒廃」吉本隆明

戦後民主主義が荒廃の極致だと言われ続けて何年経っただろうか。この著作の初出が1965年だからもう50年以上経過しているにも関わらず未だに脱却すべきレジームは戦後なのである。であるから戦後を単なる荒廃として理解するよりもその荒廃が持つある種…

産業革新投資機構と日産

産業革新投資機構の取締役が辞任した。産業革新投資機構とは09年に設立された産業革新機構の後継である官民ファンドである。記者会見で田中正明社長は機構の設立趣旨と所管省庁である経産省の方針が異なったことが辞任の理由であるとした。報道では経産省…

マクロン以後のフランス

11月の中旬からフランスで大規模なデモが相次いでいる。燃料税の引き上げが原因だと言うが車をひっくり返したり店を襲撃したりする行為はその程度の理由だけでは説明できない。中継を見てみると確かに催涙弾を投げ返したりしてはいるが、大多数が普通の一…

ファーウェイCFO逮捕にみるネットの利用方法

7日に中国の通信機器メーカー・ファーウェイの最高財務責任者がカナダで逮捕された。カナダの検察は逮捕の理由をイラン制裁違反の隠蔽だというが実際はアメリカの対中国制裁が次の段階に入ったためだろう。12月5日には英BTが5Gからファーウェイを排…

「自立の思想的根拠」吉本隆明

「どんな指導の言葉も明日を保障されるための根拠を持っていない」というが、何の根拠を持たない事に強度が出てきたらこのようなシニカルな言葉すらも空回りする。今どんな嘘でも直情的な言葉の方が好まれるのはシニカルな姿勢にすらシニカルになっている大…

「日本のナショナリズム」吉本隆明

著者によれば大衆のナショナリズムはすでに失われているので天皇制イデオロギーを鏡として利用しなければ自分の姿を見ることができない。天皇制に依存している大衆がなぜ否定的媒介として権力を超えることが出来るのか。知識人はどちらも天皇を過大評価した…

検察は外国人参政権を認めない

かつて民主党政権時代に永住外国人地方選挙権法案が提出される寸前までいったことがあった。しかし当時民主党幹事長だった小沢一郎の元秘書二人が東京地検特捜部に逮捕されたためこの法案は頓挫する。今回入管法改正で監理団体を支援する国際研修協力機構J…

入管法改正案は技術革新までの時間稼ぎ

参議院で入管法の改正案が議論されている。論点は特定技能で在留する外国人の役割だ。政府側が主張する人手不足や生産性の低さの問題は今に始まったことではない。1989年の1.57ショックの時から少子化や労働力不足はずっと懸念されてきた。少子化対…

単独親権について

今ここに40代の男性が単独親権を憲法違反だとして最高裁に上告したという記事がある。日本の法律では離婚すると単独親権になるのでどちらかは親権を失うことになる。ここには確かに両親が一緒に住んでいることが普通だという不可解な社会規範がある。 しか…

秋篠宮の記者会見について

1.「父」としての秋篠宮 秋篠宮は眞子さんと小室さんが相応の対応をして多くの人が納得しなければ納采の儀を行わないという。昨年の9月に天皇の裁可を得ているにも関わらず。逆に言えば多くの人が納得しないので結婚できないということだ。何かを決断して…

「天皇制の基層」書評

自分は次の4つの観点からこの本に批判的な意見を持った。 1.大衆体験としての天皇 20かそこらで終戦を迎えた吉本とポスト団塊世代の赤坂では議論が噛み合わないが大衆体験ということで言えば同じく象徴天皇制を生きている。だからこのような対談が成り…