2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「城」フランツ・カフカ、新潮社、1981年

カフカの「城」は①Kが誰かという問いと、②フリーダの真意の二つを巡る物語であると考えられる。①の問題で最も重要な観点は「Kが測量士ではない」ことだろう。Kの非測量士性は「してみると城はやはり彼を測量士に任命したわけだ。これは一面ではKにとって具合…

「空震」スローターダイク(03年7月)

「空気の申し子」としての人間は後見人として「雲」を持っていた。「雲」とは地表において生命の存続を可能にするため、太陽の短波のエネルギーが長波の赤外線として反射されるのを防い水蒸気と温室効果ガスである。1919年4月22日にドイツ軍が使用し…

「魔の木」スローターダイク

主人公のヤン・ファン・ライデンは心理学を志しウィーンからビュザンシーまで旅をするがピュイゼギュール侯爵の動物磁気療法を受けている最中にフランス革命に遭遇する。フランス革命=人工的な夢遊状態としてファン・ライデンが経験した新しい流体理論は彼…

「人間園の規則」スローターダイク

訳者である仲正昌樹の党派性しか見えていないような前書きから始まり「コード体系」そのものよりも「飼い慣らし」と「野獣化」の対立軸に終始するスローターダイクの本文、アレックス・デミロヴィッチによるスローターダイクの「ルサンチマン」の粗探しや「…