2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「ビラヴド」トニ・モリスン

ビラヴド自身もセサやベビー・サッグスに相当する奴隷制の経験を背負っていると思われるが、ビラヴド視点での歴史は断片的な印象として語られるのみである。そのためベビー・サッグスの思い出に触発された「開拓地」の合唱がビラヴドを追い出してしまうラス…

「可愛そうにね、元気くん」古宮海

演じられる嘘としての恋愛とそれを超越した真実としての支配は対立している。前者が八千緑と廣田であり、後者はこの物語を最後まで支配(理解)していた鷺沢である。 鷺沢守は廣田元気が同人誌の被写体・八千緑と恋人関係になり、「理想的」な恋人を演じるこ…