2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「夢遊病者たち」クリストファー・クラーク

第一次世界大戦が発生し「世界大戦」にまで拡大した原因として①文民支配に対する軍部の自立化と②軍部の自立に関する「誤認と偽りの自己演出」が事態を不透明にしたと考えられている。ドイツがイギリス-ロシア間の協商関係を誤認したのも「事態の不透明性」…

「時間と権力」クリストファー・クラーク

フリードリヒ・ヴィルヘルムからアドルフ・ヒトラーに至る権力者たちがいかなる時間秩序を構築し、また時間論的転回に翻弄されたかを描いている。 「哲人王」フリードリヒ2世はアントワーヌ・ヴァトーの「決してない」と「常にある」が奇妙に調和した絵画を…

「改革か革命か」グレーバー、セドラチェク

共産主義に始まり資本主義で終わるゲームには円環構造がある。 経済学が宗教であるのも、この円環が原因だろう。 ウェストミンスターの信仰告白。 倫理学と経済学の間に主体なき主体の生がある。 コンテクストから引き離されたがゆえに、もう誰も利用しなく…

「家父長制と資本制」上野千鶴子

家族や自然は市場の外部かもしれないが、そのような外部こそ資本主義の対象である。 本源的蓄積が土地の収奪によって実現したように。 市場の理論を記述したマルクスが家父長制を視野に入れていないからといって理論の「頓挫」を意味しないが、マルクス主義…