「夢遊病者たち」クリストファー・クラーク

第一次世界大戦が発生し「世界大戦」にまで拡大した原因として①文民支配に対する軍部の自立化と②軍部の自立に関する「誤認と偽りの自己演出」が事態を不透明にしたと考えられている。ドイツがイギリス-ロシア間の協商関係を誤認したのも「事態の不透明性」故である。

「君主の混沌に満ちた干渉、文民と軍隊の曖昧な関係、そして大臣と内閣の一体性の弱さを特徴とする体制内部における重要政治家たちの敵対関係」が「大衆新聞のアジテーション」によって深刻化した結果、国際関係の不安定さがもたらされたとする。

クラークは第一次世界大戦の原因を「誤認」とすることで、歴史に偶然性を持ち込むが、専制君主制、立憲君主制、共和制と政体の異なる協商側、同盟側の国々はそれぞれがみな誤ったことには必然性があると思われる。