「時間と権力」クリストファー・クラーク

フリードリヒ・ヴィルヘルムからアドルフ・ヒトラーに至る権力者たちがいかなる時間秩序を構築し、また時間論的転回に翻弄されたかを描いている。

「哲人王」フリードリヒ2世はアントワーヌ・ヴァトーの「決してない」と「常にある」が奇妙に調和した絵画を収集し、直近の過去(諸身分との利害対立)を「歴史」から抹消する。

フリードリヒ2世は女性を嫌悪し、先祖と同じ墓に入ることを拒絶するが、この時間認識はナチスのフォルクの時間性にも見られる遠い過去と遠い未来の固い絆に対する愛着を示唆しているだろう。

ナチスにおいて重要なのは歴史ではなく啓示だとされるが、国家を否定したのはナチスだけではなかった。

国家を否定しつつ国家に依存してしまった結果ではないか。

トラウマと時間の一般性だけではなく相互関係への考察が必要である。