2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧
本書はレーニン主義をラカンの精神分析によって解釈・修正している。 典型的なのはレーニンの反映論への批判だろう。レーニンがいうように事実認識として外部に端然と在る客観的現実ではなく、私自身がまさにそうした現実の一部としてあるため、客観的知識は…
社会主義をロシア革命以降のイメージから脱却させるのが本書の目的である。柄谷は新しい社会主義をアソシエーショニズムと呼んでいる。アソシエーショニズムは内在的運動(マルクス主義)と超出的運動(アナーキズム)の綜合であるが、柄谷の関心は超出的運…
「人種と歴史」が人種主義を標的にしているのに対し「人種と文化」はグローバリズムを問題にしている。2つの論考の間の「断絶」(p8)が問題にされたというが、重点が移動した背景にある「世界文明」の変化を見失ってしまっては元も子もないだろう。 多様…
サンデルによれば腎臓を売買すべきではないという立場は2つに分かれる。 まずは公正性の立場。腎臓を売買する市場は腎臓を売る以外に金銭を得る手段がない貧しい人間を搾取するためたとえ自発的な取引であっても公正ではない。 次に腐敗の立場は臓器市場自…
京都学派の現代的焼き増しといえる本書の観点は認知革命以前のレンマの重視が西洋的合理主義、因果論へのアンチテーゼとなっている。 フェルマーの定理で光が最短距離をとることが物質の中にある目的論的構造(p158)だとするとモノと人間に連続性がある(…