杉田論文と天皇制

出産の生産性が日本で一番問われるのは皇太子妃の雅子さんだろう。待機児童の問題や非正規雇用の生涯未婚があるにも関わらず、子供を産むことに生産性があると杉田が主張できるのは子供を産むこと一般に価値があるからではなく、特定の人間の「優秀」な遺伝子を残すことにのみ出産の価値があると思っているからである。非正規雇用の4分の3が生涯結婚できなくても、一部の優秀な遺伝子が残れば社会の「生産性」は維持される。これが杉田水脈の本音だろう。天皇Y染色体を継承させるために男系継承を肯定した平沼赳夫のように、天皇制が男系で継承されるのは伝統や宗教儀礼の必要性からですらなく単なる遺伝子上の都合でしかないという後付けの優生思想は、女性のみならず男性も含む人間の性の在り方に対する攻撃であり、ハンナ・アーレントをあげるまでもなく社会も政治的自由も存在しえない現在の危機を表している。