ファーウェイCFO逮捕にみるネットの利用方法

7日に中国の通信機器メーカー・ファーウェイの最高財務責任者がカナダで逮捕された。カナダの検察は逮捕の理由をイラン制裁違反の隠蔽だというが実際はアメリカの対中国制裁が次の段階に入ったためだろう。12月5日には英BTが5Gからファーウェイを排除すると表明、オーストラリア・ニュージーランドも同じく排除を決定している。

アメリカやその同盟国が中国の通信機器を排除する理由は安全保障上のリスクであるが、この事はアメリカという国は国家利益と資本収益が完全に一致した国家だという分かり切った事実を提示している。

では日本はどうだろうか。スマートフォンのシェアは50%がiPhoneである。これは世界的に見ても高い割合である。一時期対立が報道されたアップルとFBIであるが、今やアップルの職員がFBIの施設に出向し新規アップデートの情報等は両組織で共有しているという。自主改憲やら対米独立を唱えながら日本のネット市場はGAFA系の寡占状態である。「ナショナリズム」的な言説はこのような現実から目を逸らさせる以上の役割がない。安全保障や国益等そもそも存在しないのであれば現実逃避の「ナショナリズム」であっても現状を肯定する程度の役割は果たすことができるのだろう。入管法や水道法の改正案が一般的な議論にすらならず「既成事実」としてあっさりと通ってしまうのはある意味で当然なのだ。

そしてこの兆候は日本だけではないようである。中国は膨大な国内市場と共産党による強固な政治基盤があるのでアリババやテンセント、今回のファーウェイなどのIT企業が育ったが日本以外の他国でも事情はほとんど変わらない。

「安全保障」と言うときわれわれはどこか他の国や諜報機関、その支援を受けたテロリストをイメージするがそのイメージを作り出すアメリカのネット企業が世界の情報や金融を高度に統合している場合、何から自分たちの身を守ればいいのだろうか。