法人税減税論の間違い

有識者法人税を下げれば国際競争力が上がるという。しかしG7で最も法人税が高いアメリカは同時に世界一競争力が高い国である。一般的に考えられているように法人税を下げることで競争力が上がるわけではない。法人税を下げたくらいで競争力が上がるならハンガリー法人税9%なのでアメリカの4倍以上競争力が高くないとおかしい。

実際に日本は1990年から2018年までに法人税を14%下げているが税収は6兆円減少している。企業の経常利益は3倍以上になっているのに税収は減っているのだ。

アメリカの産業を見てわかるようにインターネットにしてもGPSにしても国防総省が税金で行ったプロジェクトから派生した技術である。法人税が高いほうが産業に適用できる技術を生み出すための研究資金を豊富に確保できるため、アメリカは法人税が高くてもその分を補う競争力を維持できるのだ。

以上のことから日本政府や経団連竹中平蔵等の御用学者が言っていることは間違いであると同時に法人税を下げること自体に目的があると理解できる。

円ドル委員会で東証会員権の付与や外銀の信託参入を認めた結果日本の企業の株式を今一番多く保有するのは外国法人である。彼らとしては研究開発費に税金を充てることよりも法人税の税率を下げることで配当金を多くもらい株式を高値で売却するだろう。公的な機関による研究開発は長期的な計画に基づくので会計年度ごとに成果が問われ24時間株式が売買されている今の企業の在り方にはそぐわないのだ。

法人税減税論はグローバル資本主義の矛盾を巧みに隠蔽し、法人税を下げ税収を失うことを市場競争という絶対的な原理で正当化する。

しかしこの原理に市場競争では生き残ることができない弱者の視点は無い。