移民を推進する経団連の意図

経団連は低下してしまった剰余価値率を上昇させるために安い労働力を必要とする。低い剰余価値率は彼らの経済活動の要である利潤率を侵食するからだ。彼らは一人の正規労働者を雇うよりも二人の非正規を雇った方が相対的搾取率は同じでも2倍の労働時間を搾取できる。「移民」も同様である。非正規一人に対し実習生二人を雇えるなら搾取は2倍、正規社員との比較においては4倍可能になる。

利潤率が減ったのはサービス業でも不変資本〈生産設備〉の割合が増えたからであるが、利潤率を維持するのであれば可変資本〈賃金〉を増やすべきである。これは移民を入れようが関係なく成立する真理であるが、経団連企業は自らの剰余価値を最大化させる目的に基づいて経営活動を行うため、労働力の単価を下げて非正規雇用を増やすことで剰余価値そのものを増やす方向に行く。

しかしこの方向性は労働力という資本が再生産できないものを基礎にしている時点で一時的には利潤率を確保できても長期的には余剰労働力がなくなるため破綻するのであるが、技術革新で経営に投入されるのはあくまで不変資本なのである。利潤率の源泉たる搾取対象〈労働力〉を殺してしまうこの矛盾を経済界の重鎮たちが気付いていないのは階級対立を無効化し続けてきた結果が経営者の認識をも捻じ曲げたためだろう。