米中貿易戦争と国境の壁

2月14日、中国がアメリカから22兆円規模の半導体を購入する提案を行った。同じ日にトランプは国境の壁建設費用を軍事予算から回すための国家非常事態宣言を発令する方針を示した。アメリカの半導体はメキシコやマレーシアで組み立てや検査を行っており中国が半導体アメリカから直接輸入するためにはサプライチェーンの調整が必要になる。

非常事態宣言は名目的には不法移民防止、実質的にはアメリカ国内の労働市場の再編を目的としている。アメリカ国内で半導体を製造するための負担増は半導体を輸入する同盟諸国や中国に行くだろう。

かつてルーズヴェルトニューディールのために緊急事態宣言を行い、開戦後に日系アメリカ人を強制収容したが今回は手順が逆である。とはいえ軍事的衝突という結果は同じだろう。

ファーウェイを5Gから排除しないとしたドイツやアメリカ軍の駐留経費を1年毎の更新に切り替えた韓国の動きは米中貿易戦争から始まる世界規模の軍事的な対立がアメリカの同盟国にとっても死活問題であることを意味する。