統計不正問題

問題は統計そのものに対する不信感である。実質賃金の上昇が虚偽であったという不信感は実質賃金がマイナスになっても同時に作用する。マイナスでもプラスでも信用ならないというのが統計不正が起きても内閣を支持している人の感覚だろう。

今後インバウンド減退、円高原油高によって実体経済が後退すれば勤労統計に反映される。しかし今回基幹統計の4割に不正が見つかったことで人は経済の実態と統計の数値の間にバイアスがあることを学んだ。人はこれから起きる景気後退を統計的には理解しないだろう。

アメリカ通商代表部は22項目の対日交渉目的を発表した。そのなかで為替やデータ移動、競争政策、サービス貿易などが入っており独禁法の改正という形で国内市場の再編が予想される。独禁法の強化が03年の年次改革要望書で提言されていることから、今回の改正がGAFAの寡占化を取り締まるためのものではないと分かる。株式持ち合いや国民皆保険制度のように日本市場の方がアメリカから見れば「独占的」なのである。