「史上最大の革命」ローベルト・ゲルヴァルト

本書の基本的な軸として陸の帝国の崩壊と国民国家の誕生、民族自決権の矛盾としての少数民族問題が挙げられるだろう。

ゲルヴァルトはドイツ革命を史上最大の革命としながら、ローザ・ルクセンブルクの殺害描写等は彼の革命に対するシニカルな両義的姿勢を表す。

1923年末まではワイマール共和国の「成功」があったのであれば、その後になぜナチスが台頭したのか。ゲルヴァルトはあり得たかもしれない歴史の可能性を追求するあまり、ワイマール以後の長期的な展望を欠いている。

とはいえ、ナチス自体が否定される現代においてもナチス歴史観[失敗した革命のワイマール共和国]は根強く継続しており、ワイマール共和国の複雑さに対する再評価は不可避であると思われる。